雑記:ダイモンの囁き

 古代の人々にとって神や悪魔といった超自然的な存在は、現代に生きる僕らよりもより身近な存在であったという。身近というと曖昧なような気がするが、すなわち存在するのが当然であり直接的に私たちの生活に影響を及ぼすようなものであるということ。現代の僕らでいうと、太陽系とかウイルスとかホルモンとかそういうものに当たるのではないかなと思う。実際に見たり感じたりしているわけではないけれども、本で読んだり医者から説明を受けて「なるほど確かにそうらしいな。この検査の数字を見てもそれなら納得だ。」といった具合にストンと腹落ちしている。科学という強力な思考手段がなかった時代の人々には、これらの代わりに精霊や神あるいは悪魔が、ありありとその存在感を持って関わってきていると感じられたのだろう。

 古代ギリシャでは、ダイモンと呼ばれる存在があったという。英語のデーモン(悪魔)の語源であることが推察されるが、特に邪悪なものではないらしい。あまり詳しくは知らないので適当ではあるが、内なる声とでも訳しておくのが適当かもしれない。何かを行うとき、自分の奥底から聞こえてくるダイモンの声に耳を傾けるのである。そうして生活の指針を得るのが、当然のこととして営まれていたらしい。何か瞑想と似たような感じもするが、自分の中から沸き起こってくる声を自分ではない何かの囁きととらえるところが西洋っぽい感じもする。

 よくわからないことをつらつらと書き並べている。結局なにが言いたいのかというと、僕も週末になるとダイモンの囁きが聞こえるということである。語弊があるといけないので述べておくが、誰かの声が聞こえているわけではない。なんというか、頭で考えている行動計画があるのだけれど、結局自分の奥底から沸き起こる囁きに従って大きいクッションに身を横たえ、本を読んだりゲームをしたりしてしまうのである。かと思えば「行くよ!」みたいな囁きがきてその辺を散歩がてら歩きつつ、架空のディベートを脳内シミュレーションしたりするのである。実に脈絡がない。本当は映画を見に行ったり服を買いに行ったりしたいと思っているはずなのに。しかし、この囁きには逆らい難い大きなエネルギーを感じるのだ。社会で役割を果たすために強力に作り上げた自我が、抑え込んでいる心のエネルギー。寝ているときなど、自我が弱まっているときにひょっこりと顔を出す。自分の心からあふれ出すエネルギーに耳を傾けると、ダイモンの囁きが聞こえるのである。

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