ラーメンズの小林賢太郎さんがパフォーマーを引退するとのニュースが。会社から帰る電車のなかで大変に驚いてしまった。誰かが何かを引退する、というニュースで「な、なんと!」という気分になったのは初めてかもしれない。歌手や俳優なんかだと作品はその作品として残るし、僕にはCDを聞いたりDVDを見る方が本人に会うよりも大事なので引退のニュースはそれほど胸に響くものではない。スポーツはもともと興味がない。最近は”~ロス”という言い回しがよく使われるけれども、自分には縁遠い事柄だな~と思っていた。でも今日のニュースは衝撃だなぁ(街頭でインタビューに答える人のように大げさではないけども)。
なんで小林さんに限って動揺したのかな~と考えると、たぶん舞台を見に行くのを僕が楽しみにしていたからなんだなと思う。観劇する、というのはその時にしか味わえない無二の体験だ。あとから公演を収録したDVDやBlu-rayを見ても、おなじ感動は味わえない。実際に見た時のことを思い出して追体験するのがせいぜいで、行っていない公演をビデオで見ても、それは別物になってしまう。テレビやラジオ、本さえ無く娯楽に飢えていた中世の人々が、オーケストラの演奏を初めて聞いたときの感動を僕らが決して味わうことができないのと一緒だ。
社会人になってやっとチケットを買うことができるようになって、栄のロフトの劇場まで初めて行ったときのことは今でもよく覚えている(というかほんの数年前)。あんなにどきどきして、わくわくして、楽しくて、さわやかに終わるものがあるなんて。他のどんなものにも感じたことのなかった非日常を体験したあの時から、小林さんの公演に行くのが人生の楽しみになっていたんだな。次はいつ見られるんだろう、そう思って待っていたから、その次が来ないことを知ったとき、落胆してしまったのだろうなと思う。
そんなことを言ってもご本人が決めたことなので、なんやかんや思っていてもしょうがない。最後の演目を見に行けたことをよかったと思って感謝しよう。演劇やコントを見に行く楽しみを与えてくれたことが僕の人生をどんなに豊かにしただろう。こんな路傍の石ころのような人間に幸福を与えることができるなんて、なんて素晴らしいんだろう。とどくことはないけど「ありがとうございました」と言いたいな。
ただ独白するだけの日記に感情があふれてしまうほど、今日は驚いた。明日から何を楽しみに生きていこう。あんまりないんだ、楽しみが。とりあえず部屋の掃除でもコツコツやろうかな~。