個人的にマスクをすることが好きでないので、咳がとまらないなど必要なとき以外はマスクを着けていない。今回のウイルス対策についても、あらゆる感染対策をしたときのマスクの寄与率がたいそう低いと判断して普段は着けていなかった。
しかし、会社からマスクの装着を徹底せよとのお達しが出てしまい、渋々ながらマスクを使用することにした。ところが、マスクの備蓄などないし薬局にいっても在庫などひとつも残っていない。こんど市のほうから斡旋販売があるらしいけれども、一家庭に7枚だけだという。いつまで続くかもわからない感染対策生活のなか、使い捨てのマスク数枚では十分とは言い切れない。いや、100枚あっても半年も持たないのだから、現状は絶望的と言わざるを得ない。このままではバンダナを巻いて列車強盗のような姿を晒しながら仕事をしなければならなくなるため、自分でマスクを作ることにした。
そこでマスクの材料を調達にでかけた(このあたりで矛盾した気持ちを抱くけど仕方ないので)ところ、ガーゼや不織布も軒並み売り切れとのこと。確かに最近は手作りのマスクをしている人をちょくちょく見かけてはいたけど、ここまでとはね。せっかくなのでお菓子などを買いつつ、やわらかめのゴムだけなんとか手に入れておうちへ帰った。
既製品はまず手に入らず、入ったとしても足らず、材料も枯渇しているなか、装着することを強く求められ続ける。期限はわからない。よもやマスクがここまでの理不尽さをもって自分の身に迫りこようとは夢にも思わない。いや、マスクはないので迫ってこれないのではあるが、自分の追い詰められ感がそう感じさせる。そのへんの人たちはみんなマスクをしているけれども、いったいどこから仕入れてきているのか不思議でならない。
とはいえマスクを着けないと怒られてしまうので、なんとかしなければならない。背水の陣で頭を捻ったところ思いついた。そういえばボロッボロになったジーンズがあったので、そいつをリメイクすればよいのではなかろうか。日本人の美徳である「もったいないの精神」も満足できるし、なんか見た目も良さそうなので三方丸く収まりそう!さっそく使い終わった使い捨てのマスクから型紙を作り、10年ぶりくらいに裁縫セットを取り出して制作開始。
古着のリメイクなんて初めてやったので、想像つかなかったことがいっぱいあった。簡単にあげてみるとこんな感じ。
・ハサミで布を切ると糸くずがいっぱい出てくる
・針に糸を通すのが大変
・”中表”など、完成形とは違う途中形態に慣れないのでミスを頻発
・間違えたやつを直すのが本当に嫌(新しく作る方がマシ)
・必要な糸の長さがわからないのでとりあえずたくさんとるとやりにくいし余る
などなど、他にも落としたまち針を拾おうとして指に突き刺したりしながら、2~3時間ほどかけてやっとひとつ完成させた。ぜんぶ手縫い、本返し縫でこれくらいだった。ミシンがあったら30分もかからないかなと思う。実家に足踏み式のやつがあったけど、帰省もするなと言われているからなぁ。とことん理不尽なことだなぁ、としみじみ理不尽さを噛みしめる。こんなに八方塞がれることもそうそうないので、めずらしい経験になったかなと思う。
できたマスクはなかなかいい感じ。苦労して作ったから愛着もあるし、思った通り見た目も悪くない。これなら着けるのも嫌に感じないね。使い捨てのマスクを使い続けるのは衛生的にもあまりよくないから、着なくなった服なんかをマスクにするのも、時間つぶしになるしいいな~と思いました。